かをり

当地に帰ってきて義母とよく出かけました。
いつも待ち合わせは三越のライオンの前。
お喋りしながらの買い物は楽しいものでした。
あるとき帰り際に、化粧品売り場により「Y子さん、この香り素敵なのよ。」と買ってもらったのがシャネルの9番?でした。
大切に大切に長い間 香り を楽しみました。

今日の地元紙夕刊の 季のうた を読みながらその頃を懐かしく思い出しています。

完全な黒とは光のすべてを吸収する。
宇宙であり、深海のいろである。
漆黒とは黒漆を塗った漆器のように艶のある濃密な深い黒。
漆の艶が加わることで、髪や瞳などに使われ、単なる色彩を超えた趣きが加えられたものになる。
漆黒の香りとはどんなものだろう。墨をする際に香り立つ香気。
あるいは手入れをされたピアノの匂い。
大人の女にふさわしく静かに漂う香りに想像をめぐらせる。

土肥あき子