雅号…鬼怒鳴門

今日25日地元紙朝刊コラム欄に書かれた一文です。

太宰治による小説「斜陽」に、村の老医師が往診する場面がある。わざわざ白足袋をはいて向かう。その身支度から、高い身分の家を訪ねる緊張が伝わる。そこまで正装するとは切迫した症状だろうか。そんなことも頭をよぎる。しかしそれは読み手が日本人だから。その白足袋がもたらす雰囲気を英訳するのは容易ではない。白いソックスと書かれても外国人には伝わらない。かといってくどくど説明しては作品を壊してしまう。ならばと、足ではなく「手」に変えた。白手袋と訳した人がいた。英米文化で白手袋はまさしく正装。この訳は「戦後の日本文学の英訳の中で特筆すべき名訳」と称賛された。訳したのはドナルド・キーンさんである。」

昨日96歳で永い眠りにつかれました。新潟県とは縁の深い方でした。

 

このところの日本は、どうも自分のことばかり、目先のことばかりに頭を使っていませんか、と。見知らぬ人にも傘を差し出す人々であったはずだが、他者や後世への思いやりをを欠いていませんかと・・・キーン氏からの苦言も書かれていました。

 

孫たちに人には優しくと言ってますが、私共が育ったころとは様変わりした今の生活,見た目の豊かさの裏に潜む恐ろしさ、どう教えていったものかと思っています.