プレゼント・本 そして 義父が遺したバラ

『明日11日は平日です』 と新聞に注意書きが載っていました。

 

7日はKの誕生日でしたが家族のお祝いは10日とのことなので夕方、ケーキとプレゼントを届けます。私から彼女へはスタンドカラーのマキシ丈ドレス。気に入ってくれるでしょうか?「私、絶対ズボン履かないから・・・。」の彼女ですから。

 

簡単に読めると思っていた佐多稲子さんの『夏の栞』。途中いろいろあってようやく終わりました。
印象に残っている場面は共に中野重治氏が入院した病室でのこと。
「足が冷たいから触ってみて」と奥様の原泉さんに言われ布団の下に手を入れた時。
目を閉じたままの中野氏が「稲子さんに足を撫でてもらっては、罰が当たるね」と。
そして後日、日よけの為にタオルをかけてあった紐が解け中野氏の顔に当たりそうになり稲子さんがそれを上にあげた時。
目を閉じて眠っていたような中野氏が「稲子さんかァ」と言ったのです。
その中野氏の言葉を聞いて奥様が「あら、稲子さんってこと、どうしてわかるんだろう」と一言。(前の場面も同じことを)
そして「ああいうひとは、ほかに、いないもの」が中野氏の答えでした。
これだけのことですが緊張感が伝わって読み終わってからも何度もその場面を思い出しています。

 

義父が遺してくれた中で一番身近にあるものはこのバラでしょうか・・・。
名前もわからず、でも毎年真っ赤な見事な花を咲かせます。こんな花弁は今まで見たことがありません。外側に反れながら巻かれています。

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去年草取りをしているときにこのバラの株元に木くずを見つけました。夫が木くずの出てくる穴を見つけ薬剤を入れ処置してくれました。
義父が亡くなって30年近く、健在ならバラ談義も出来たのにと時々思います。

 

庭で鉢に水をやっていると二階のベランダで「ババチャン、今日で何歳になるの?」とRが大きな声で聞きました。
「75歳よー。」と私も大きな声で。
お散歩のお二人が笑いながら通り過ぎました。